出ると気まずいモノ
おめんたいたい!けんしくんです!
人に害を与えようとして自分に返ってくることを、
「天に唾を吐く(てんにつばをはく)」という。
現代では、自分より上の立場の人にたてつくという意味でも使われるようだ。
上を向いて唾を吐くと、下に落ちてくる様からできた言葉らしい。
僕がこの言葉に出会ったのは、高校一年生の頃。
剣道部の先生が教えてくれた。
梅雨でジメジメした日が続くなか、すごく晴れた日のことだった。
稽古前のミーティングで、全員が集合する。
なんの前触れもなく「天に唾を吐く」話が始まった。
一年生の僕には意味がわからなかった。
後でわかったことだが、どうやら先輩のうち一人の態度が良くないということを指摘するためだったようだ。
話も終盤に差し掛かり、稽古が始まりそうな雰囲気になってきた。
このあと、僕だけに災害が降りかかるなんて、誰も想像しなかった。
ミーティングはクライマックス。
より体を前のめりにして、耳を傾ける僕。
その時。
熱心に話す先生の口から大つぶのツバが解き放れた。
きれいな放物線を描いたツバは、最初から着地点が決まっていたかのように、僕の右目にホールインワン。
一切の迷いがない的確なコース取りには、あのNASAがロケットの軌道研究に利用しているというから驚きだ。
バルスをくらったムスカ大佐よろしく、もがき苦しむ僕とは関係なく、先生は話し続けた。
「君をのせて」が流れるまであと数秒。
心のラピュタが崩壊した僕が学んだことは、
唾を吐くと誰かがイヤな思いをする。
これに尽きる。
無意識に出たり、今出さないと人と話せない、という状況以外は悪意のある唾吐きはしてはいけない。
皆さんにも今一度、唾のマナーを確認してほしい。